倉庫に鳩が入り込むと、衛生面や設備に深刻な被害をもたらし、商品の品質低下や作業環境の悪化につながります。とくに食品や医薬品を扱う現場では、わずかなフンや羽毛でも大きな損失を招くため、早急な対応が不可欠です。この記事では、倉庫での鳩被害を効果的に解消する方法と、再侵入を防ぐための具体的な対策について詳しく解説します。
鳩が倉庫にもたらす被害
倉庫に鳩が侵入すると、見た目の不快さだけでなく、さまざまな被害を引き起こします。衛生面・設備面・作業環境の3つの側面で、とくに注意が必要です。ここで詳しく解説します。
衛生被害
もっとも深刻なのは衛生面のリスクです。鳩のフンにはサルモネラ菌やクリプトコッカス症など、人に感染する可能性のある病原体が含まれることがあります。また、食品や医薬品など高い衛生基準が求められる倉庫では、フンや羽毛、巣材の混入によって製品が汚染され、出荷不可になる場合もあります。これにより、企業の損失や信頼低下につながる可能性があります。
設備被害
鳩のフンは強い腐食性をもつため、床・壁・鉄骨・機械設備の劣化を招き、建物や設備の耐久性に悪影響を与えます。また、フンや巣材が空調機や換気装置に入り込むと、フィルターや配管が詰まり、設備故障や停止の原因にもなります。生産ラインや在庫管理システムに支障が出れば、業務全体の停滞にもつながります。
作業環境の悪化
鳩の存在は作業環境にも影響します。フンによる悪臭や羽毛の散乱は従業員の快適性を損ない、鳴き声による騒音は集中力を奪うことがあります。その結果、業務効率の低下も避けられません。鳩はどのようにして倉庫に侵入する?
鳩にとって、雨や風をしのげる安全な空間は非常に魅力的です。倉庫はまさにその条件を満たしており、高所や人の出入りによって開放された出入口を巧みに利用して侵入してきます。主な侵入経路は以下のとおりです。出入口周辺
もっとも侵入が多いのは出入口周辺です。倉庫のシャッターボックス上部は鳩の待機場所に適しており、高い位置から内部の様子をうかがえます。周囲の危険を察知すればすぐに飛び立てる点も利点で、平らである程度の広さがある場所は巣作りにも好都合です。さらに、大型トラックの出入りがある車路やトラックバースも、侵入のリスクが高いポイントです。物流倉庫では荷物搬入や搬出のためにシャッターが長時間開放されることがあり、その間に鳩が内部に入り込むことがあります。
屋上
倉庫の屋上も侵入の要注意ポイントです。鳩は高所から周囲を見渡す習性があり、地域でもっとも高い建物の屋上は偵察に最適です。人の出入りが少ない屋上は、鳩にとって休息や営巣に適した環境です。屋上の隅や換気塔の周辺など、人がほとんど手を加えない場所はとくに狙われやすく、放置すると短期間で巣を作られることもあります。
内部の設備上部
倉庫内に侵入した鳩は、天井の梁やケーブルラック、配管ダクトの上など、高所で安全な場所に棲みつきます。天井が高くH形鋼の梁が縦横に組まれた倉庫は、鳩にとって羽を休めるのに十分な空間があります。ケーブルラックや配管ダクトは人の手が届きにくく、営巣に最適です。こうした場所は外敵からも守られるため、一度居つかれると長期的に被害が続く可能性があります。また、フンや羽毛が積もることで設備や床が汚れ、衛生上の問題も発生しやすくなります。
効果的な鳩の駆除方法
倉庫における鳩の被害は、衛生面や設備面に大きな悪影響を与えるため、早急な対策が必要です。単に追い払うだけでは一時的な効果しか得られず、すぐに戻ってきてしまいます。そのため、根本的な解決には侵入防止と複数の方法を組み合わせた対策が重要です。
侵入防止
まず効果的なのは物理的な侵入防止です。鳩が倉庫に侵入する主な経路は出入口や高所であるため、これらを塞ぐことが第一歩となります。シャッターボックス上部やトラックバース周辺に防鳥ネットを設置すると、鳩の侵入を物理的に阻止できます。物流倉庫では建設段階からネットを組み込むことで、長期的に高い効果が期待できます。
さらに、防鳥スパイクやワイヤーを設置すると、鳩が止まりにくい環境を作れます。出入口の上部にバードピンを取り付ければ、鳩の停まりや営巣を防ぎ、侵入リスクを大幅に減らせます。
倉庫内部の天井や梁、ケーブルラックは鳩が留まりやすく、巣作りにも適した場所ですが、これらにはネットや忌避ジェルの塗布が有効です。ただし、高所作業は転落などの危険があるため、専門業者に依頼するのが安全で確実です。
屋上は外周のみの対策でよい
鳩は高所から周囲を確認する習性があるため、屋上も侵入防止の対象です。とくに外周部分は偵察や休息、場合によっては営巣に利用されやすいため、ここを中心に対策するだけでも効果があります。予算が許す場合は、微弱な電気ショック装置を設置し、鳩に危険な場所であると学習させることで、再侵入の抑止力として機能させることも可能です。
接近抑止
物理的な対策に加え、音や光で鳩の接近を抑止する方法もあります。超音波発生装置やフラッシュライトで一時的に追い払うことができますが、鳩は学習能力が高いため、これだけでは持続的な効果は期待できません。そのため、物理的な遮断や忌避剤と組み合わせることが重要です。市販の鳩除けスプレーやジェルを梁や巣作りしやすい場所に塗布すれば、接近防止効果を発揮します。ただし、時間の経過とともに効力は弱まるため、定期的に塗り直す必要があります。
再発防止には専門業者の利用がおすすめ
こうした対策を講じても被害が大きく、鳩の数が減らない場合は専門業者への依頼が望ましいです。鳥獣保護管理法に従い、安全かつ合法的に駆除できるのは専門業者ならではの強みです。現場の構造や被害状況を把握した上で最適な方法を提案してくれるため、自力での対策が限界に達した場合は、専門家に任せるのが安心です。
鳩の駆除に関する注意点
倉庫で鳩の被害が発生すると、多くの管理者はすぐに駆除したいと考えるでしょう。しかし、鳩の駆除は簡単ではありません。日本では鳥獣保護管理法により、野生の鳩を無断で捕獲したり殺傷したりすることは禁止されています。つまり、倉庫の被害を解消するためには、法律を守りながら適切な方法を選ぶ必要があります。
鳥獣保護管理法に従う必要がある
鳥獣保護管理法のもとで駆除を行う場合、とくに注意が必要なのが巣の撤去です。鳩は繁殖力が強く、一年を通じて複数回繁殖することもあります。そのため、侵入を許すと倉庫内や屋根裏に巣を作られることは珍しくありません。巣の中に孵化していない卵やまだ飛べない雛がいる場合、安易に撤去すると法律違反となる可能性があります。
知らずに巣を取り除いてしまわないよう、必ず巣の状況を確認し、専門業者に相談することが重要です。
再発防止を徹底する
鳩は一度居心地の良い場所を見つけると、執着する習性があります。倉庫の梁や屋根裏、シャッターボックスの上など、外敵から身を守りやすい場所はとくに棲みつきやすく、一度駆除しても同じ経路から再侵入するケースが多く見られます。そのため、駆除そのものだけでなく、再発防止を徹底することが重要です。鳩が利用した出入口や止まり木となる部分を特定し、防鳥ネットやスパイク、忌避ジェルなどで物理的に侵入を阻止することが効果的です。
こうした対策を講じなければ、駆除してもすぐに同じ被害に悩まされる可能性があります。
高所作業に注意
倉庫は天井が高く梁が複雑に組まれているため、人が簡単に立ち入れない場所に巣を作ることがあります。高所作業は転落などのリスクが大きく、素人には非常に危険です。そのため、倉庫全体の調査や高所での施工は、専門知識と経験をもつ業者に依頼するのが安心です。