日本各地にはさまざまな野鳥が生息しています。都市部では、日常的にカラスやハトを見かけるでしょう。そこで、鳥のフンによる被害が多発しています。住宅の屋根を汚し、景観を損ねるため大きな問題です。また、掃除も重労働になるでしょう。ここでは、巣の撤去方法と再発させない鳥害対策を解説しています。鳥害で悩んでいる方は必見です。
鳥が屋根に巣をつくるのはなぜ?
ハトやスズメ、ムクドリなどの鳥は、屋根などの高所に巣をつくる傾向があります。これは一般住宅だけでなく、ビルや工場などの建物でも見られる行動です。鳥のフン対策を行ううえでは、鳥の習性を理解することが重要です。
鳥は身を隠せる場所を狙う
ハトやスズメなどの小型の鳥にとって、カラスなどは天敵になります。ヒナや卵を守るため、身を隠せる場所が必要です。そのため、屋根に設置されたソーラーパネルは鳥にとって格好の巣作りスポットになります。ソーラーパネルは隙間が多く、天敵から身を守りやすい構造です。
また、雨風の影響を受けにくく、ある程度の保温性もあるため快適です。周囲に木々や林がある場合、餌を確保しやすく、さらに巣作りされやすくなります。小さな隙間でも注意が必要です。
ソーラーパネル以外の鳥が好む場所
一般住宅でソーラーパネルを設置していない場合でも、軒下・雨樋・屋根裏・室外機など、巣作りされやすい場所は多数あります。鳥は猫やほかの野生動物などから身を守るため、高所で人目につきにくい場所を選びます。巣を覆い隠せる場所が多く、雨風にも強いため、鳥にとって安心できる環境です。戸建て住宅では、気付いたときに個人で巣の撤去が可能で、鳥に警戒心をもたせることができます。
一方、マンションでは管理が個別にできないため、鳥にとって安心な場所となりやすいです。さらに、カラスなどの大型の鳥は、巣を頑丈に作るために住宅の資材を利用する習性があります。
たとえば、防水シートや断熱材などを巣作りに活用し、学習能力の高いカラスは住宅に損傷を与えることもあります。
屋根にできた鳥の巣を放置するのはNG
屋根で鳥の巣を見つけても、高所の作業は危険で、個人での撤去は難しい場合があります。そのため、生活に支障がなければ放置してしまう方も少なくありません。しかし、そのままにしておくと、さまざまな被害が発生する可能性があります。
ソーラーパネルの不具合
ソーラーパネルの場合、フン・羽根・虫などが隙間に入り、機器の故障につながることがあります。配線ケーブルが破損すると、発電効率が低下し、設置目的が果たせなくなります。小さな巣でも油断せず、早めの対応が大切です。
景観・健康への被害
鳥のフンは建物の劣化を早め、景観を損なう原因になります。場合によっては大規模な修繕が必要になることもあります。また、フンや羽根にはウイルス・ダニ・ノミが付着していることがあり、呼吸器や皮膚への健康被害のリスクがあります。乾燥したフンや羽根は空気中に舞い、生活空間に入り込むこともあります。
免疫力の低い小さな子どもや高齢者、ペットがいる家庭ではとくに注意が必要です。
騒音被害
鳥の鳴き声や羽音は想像以上に大きく、騒音の原因になります。ムクドリやカラスのように集団で行動する鳥は、夕方に巣へ帰り、夜間も巣で過ごすため、睡眠妨害の原因となることがあります。ヒナがいる場合は昼間も大きな鳴き声が発生し、ストレスになることもあります。また、住宅街では近隣トラブルにつながる可能性もあるため、早めの撤去が望ましいです。
環境被害
鳥が住宅周辺に住み着くと、洗濯物や車がフンで汚れるほか、悪臭も発生し、生活の質が低下します。カラスの場合はゴミ置き場や庭を荒らすこともあり、近所迷惑にもなります。さらに、巣作りのために枝や廃品を運んでくることもあり、掃除してもすぐに散らかるためストレスが増します。生活環境を守るためにも、巣を放置することは避けましょう。
屋根の鳥の巣は撤去できる?
鳥の巣を放置すると、さまざまな被害が発生します。そのため、早めに撤去することが重要です。ただし、高所での作業や法的制限のため、撤去は簡単ではありません。ここでは、撤去のタイミングや必要な準備を解説します。
個人で撤去できない場合がある
卵やヒナがいる巣は、野鳥保護の観点から個人で撤去できません。勝手に撤去すると、鳥獣保護管理法に違反し、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。巣を見つけた場合は、ヒナや卵が巣立つまで待つ必要があります。ただし、生活に支障がある場合は、役場に相談することで撤去許可が得られることもあります。個人で撤去する場合は、慎重な判断が求められます。
空の巣を撤去する
巣立ったあとや古い巣は、個人の判断で撤去可能です。鳥は翌年同じ場所に戻ってくることがあるため、早めの撤去が望ましいです。また、巣が複数連なっている場合もあるため、完全に撤去することが重要です。鳥の巣は高所にあり、細菌が多く含まれている場合があります。
撤去作業では、安全な脚立や梯子を使用し、動きやすい服装で行いましょう。屋根の上は滑りやすく危険なため、無理をせず安全第一で作業してください。
さらに、マスク・軍手・ゴーグルなどを着用し、肌や粘膜に細菌が触れないよう注意しましょう。撤去作業は簡単ではありません。個人で行う場合は、十分な準備と安全対策を行うことが大切です。
屋根の鳥害に有効な対策
鳥の巣を撤去したあとも、再び被害に遭わないための対策が必要です。鳥を寄せつけない工夫を行うことで、安心して生活できます。住宅設備の対策
ソーラーパネル・室外機・マンションの高架水槽など、住宅設備の隙間は鳥にとって格好の巣作り場所です。バードネットを張ることで物理的に侵入を防ぎ、巣作りを防止できます。ただし、ソーラーパネルの場合は高所作業になるため、安全に設置するには業者に依頼するのが安全です。設置前であれば、ソーラーパネル業者に鳥害対策について相談すると良いでしょう。専門家に任せることで、作業も安心して行えます。
電気ショック対策
大型建物では、電気ショックによる鳥害対策も効果的です。鳥が触れると軽いショックを受け、危険な場所として認識します。1~2羽が学習すれば、群れ全体が寄りつかなくなります。鳥に怪我をさせることも少なく、法律上も問題が起こりにくい方法です。
ムクドリやハトなどの集団行動する鳥に有効ですが、導入コストは高めで、一般家庭よりも工場や倉庫向けの対策となります。
ハト対策は念入りに行う
ハトは巣を撤去したあとも、同じ場所に戻る習性があります。帰巣本能が強く、縄張り意識をもつため、バードネットを張っても隙を見て侵入することがあります。3~6か月程度は常に観察され、姿を見えなくなったからといってネットを外すと再来する可能性があります。そのため、ハトを最初から寄せつけないことが重要です。
バードネットに加え、忌避剤や防鳥ワイヤーも活用しましょう。忌避剤はハトが嫌がる匂いがあり、屋根にスプレーすると効果的です。
防鳥ワイヤーは、ハトが止まりやすい場所に設置し、ワイヤー幅を狭くすることで、羽根に触れたときに不快な環境を作ります。これにより、巣作りを避けるようになります。身近な鳥だからこそ、徹底した対策が重要です。